「生成AIと芸術」の特別講義を実施しました!

2025年12月2日(月)、本校にて大学兼任講師・博士(芸術学)の 河原啓子先生 をお招きし、「生成AIと芸術」をテーマに特別講義を行いました。

 


昨年に続き2回目となる講義は、最新の技術動向だけでなく、芸術表現の本質や人間の創造性について深く考える内容となりました。

 

◆生成AIと向き合う「私たち」の現在地

 

講義冒頭では、世界で急速に進む生成AI技術の発展と、それに対する社会の反応が紹介されました。

動画生成AIが映画制作の領域に参入したり、AIをテーマにした国際映画祭が開催されたりと、芸術とテクノロジーがこれまで以上に密接に結びつき始めているそうです。

一方で、大学の研究では、文章作成をAIに任せた学生は「考えるプロセス」を飛ばしてしまう傾向があるという結果が出ており、利便性と引き換えに失われていくものが存在することを教えていただきました。

学生のなかにも、普段からAIを便利に使っている人が多くいます。考えるプロセスを飛ばしてしまうという指摘が身に染みてわかる人も多かったようです。

AIを「便利な道具」として受け入れるだけではなく、その影響を批評的に捉える態度が求められているという河原先生の言葉に、大切な気づきがあったようです。

 

◆芸術はどのようにAIと出会ったのか

講義の中心では、美術や音楽の領域における生成AIの活用事例が取り上げられました。

過去の巨匠の作品を学習し、新しい作品を生み出すプロジェクトや、失われた絵画を最新技術で復元する取り組みなど、芸術がAIによって更新される現象が紹介されました。

音楽領域についても、AIが作曲や歌唱を担い、亡くなったアーティストの声を蘇らせる事例が紹介されました。

それは、技術的驚異であると同時に、「誰の声なのか」「何を表現しているのか」という倫理的な問いを投げかける存在でもあります。

学生もその緻密さに驚きながら、一方で問題提起をしっかりと受け止めました。

 

◆「創造」はAIに奪われるのか

講義後半では、AIが効率的に作品を生み出す時代に、人間の創造はどこに残されるのかという問いが投げかけられました。

河原先生は、AIが模倣による生成を得意とする一方で、人間だけが担える領域が存在していると言います。

例えば手塚治虫のマンガをAIにディープラーニングさせて、新作マンガを作成するプロジェクトでは、AIがキャラクターを描き出すことに成功していますが、コマ割りなどマンガの面白さの中核を担う領域は人間が行っているそうです。

AIの時代では、AIと人間それぞれが補い合い、新しい形の協働的な創造が模索されていきそうです。

学生にとっても、AIが芸術の領域で活用されている事実から、「本当の創造とは何か」「人間らしさとは何か」ということを改めて考える機会になりました。

 

◆特別講義を終えて

講義終了後、学生から多くの質問が寄せられ、生成AIと芸術に関する関心の深さが伺えました。

 

学生からはこのような感想があがりました。

  • 「芸術の専門家である河原先生の講義は、普段接する技術的な視点と異なり、非常に新鮮でした。生成AIとアートの可能性について深く考えることができました。」
  • 「生成AIは、芸術表現の幅を大きく広げると感じました。その一方で、AIに任せすぎると自分で考える力が弱くなる危険もあると思いました。AIを上手に道具として使い、人間らしい発想を大切にしていきたいです。」
  • 「AIの創造性は「正しい」とはいえ、開発者がどれだけ努力しても、真のアーティストが持つものに到達することは、決してできません。アーティストは、作品に魂の一部を注ぎ込みます。AIには、それができないと思います。」
  • 「生成AIが芸術の世界に大きな影響を与えていることを知り、とても興味深かったです。AIは便利で、新しい表現を生み出す力はありますが、その一方で、著作権やアーティストの存在意義について考える必要があると感じました。将来、Webデザインやクリエイティブな仕事をする上で、AIと上手に協力して、AIにできない人間らしい発想を大切にしたいと思いました。」
  • 「これからは、AIの力を上手く使いながら、人間にしかできない表現とは何かもっと考えることが大切だと思います。」

 

生成AIの現在の立ち位置を確認し、これからの付き合い方を考えさせてくれる貴重な機会となりました。

河原先生、ありがとうございました!

 

◆中央情報学園AIデジタル研究について

河原先生は中央情報学園AIデジタル研究所発行の『AIデジタル研究 第8号』にも論文を寄稿してくださっています。

『 生成 A I 時代に人間が“考えだすこと”とは?― 芸術創造の見地から ― 』

こちらの表紙画像から、論文をお読みいただけます。

 

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2025.12.22
中央情報専門学校
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