IT特別講座「会社経営とITビジネス」を行いました!
蓼科情報株式会社 相談役、株式会社夢創 代表取締役社長の吉野 曠男さんをお招きし、3回に渡り「会社経営とITビジネス」の特別講座を開催しました。

ITは単なる技術ではなく、企業の未来を左右する戦略の要。その真実を、吉野さんは50年にわたるキャリアを通じて、リアルな体験談で伝えてくれました。
第1回:ゼロからの挑戦、インターネットデータセンター(IDC)誕生の舞台裏
企業の情報セキュリティが話題になり、セキュリティ対策の重要性が改めて注目されている昨今ですが、そんな企業の情報セキュリティを守るために重要な「インターネットデータセンター(IDC)」立ち上げに携わった経験を語っていただきました。
その道は平坦ではありません。
技術だけではなく、災害対策、セキュリティ、コスト削減、そして顧客の信頼——すべてを満たす仕組みをゼロから作り上げる必要があったのです。
「戦略なくして勝利なし」——吉野さんは市場を分析し、ユーザーの要望に耳を傾け、競合との差別化を徹底的に考え抜いたそうです。

プロジェクトの成功は、そういった顧客視点と戦略的な発想から生まれた「データセンター見学者をあっと驚かせる演出」や、「ラックの色分けで競争意識を高める工夫」など、細部へのこだわりの結果でもあります。
企画段階では、企画書を50%の完成度で早めに認識合わせをするなど、新規ビジネス立ち上げに携わる際の具体的なアドバイスも大変勉強になる講義となりました。
第2回:銀行システム統合、1,000人を率いたプロジェクト推進

第2回の特別講座で語られたのは、金融業界での壮絶な経験。二つの大手銀行が合併し、システム統合を進めるプロジェクトです。
「異なる文化を持つ組織を一つにする」——それは技術だけでなく、人の調整力が問われる戦いだったということです。
既存システムの構造を徹底分析し、どちらを基盤にするかを決める。その選択は、数千万人の顧客に影響を与える重大な決断です。
さらに、既存システムの違いとは即ち、業務の違い、文化の違いです。そこには従業員のゆずれぬ思いがあります。
大切なのは、時には一歩引き相手の声に耳を貸す姿勢だ、と吉野さんは語ります。
ステークホルダー(利害関係者)を意識して、時には譲る決断をすることも大切だと学びました。

そして、大きなプロジェクトにつきものの、障害。
新センター移転と、阪神淡路大震災という災害対応を同時に進めなければならないという誰もが予想していなかった状況に直面したといいます。
最小限の影響で障害を復旧させるには——貴重な体験談から、心構えについても教えていただけました。
第3回:企業での年間業務計画策定プロセス

最終回では、企業の業務計画(ビジネス戦略)策定について、順を追ってプロセスを解説していただきました。
業務計画の中心は「顧客」。どんな顧客に、どんな価値を提供できるかを分析することがマーケット戦略になるといいます。
マーケティング戦略の基本であるSTP分析(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)や4P(製品・価格・流通・プロモーション)を駆使し、顧客ニーズに応える仕組みを作る。
その具体的な手法について自らの経験から解説をしていただきました。

後半では、提案・企画書の書き方について、吉野さんが若手時代に学んだ作成のコツを踏まえて実践的な内容を伝授していただくことができました。
経済環境、IT動向など会社を取り巻く前提を確認し、複数の視点で物事を見て、解決が求められている問題を見つけ出す能力——これから社会人として活躍する学生たちに、どんな姿勢や能力が求められるのかを伝えてくださいました。
特別講座を終えて
学生からはこのような感想があがりました。
- 「講師の50年の経験談はとても現実的で、ITビジネスと会社経営の関係をわかりやすく学べました。将来の働き方を考える貴重な機会でした。」
- 「お客様の声をキャッチし、早めに行動することの大切さを学びました。分析・顧客視点・迅速な対応、この3つを大事にしたいです。」
- 「新しいビジネスを生み出すには、技術だけでなく柔軟な発想とチームの協力が重要だと学びました。」
- 「実際の銀行業務や合併の経験に基づく講義は、教科書では学べないリアルな内容で、とても勉強になりました。」
- 「統合システムプロジェクトで、既存システムを分析し、顧客やステークホルダーを考えて行動する必要性を理解しました。成功談だけでなく失敗談も参考になりました。」
- 「講師の失敗談から、学び続ける姿勢の重要性を感じました。社会に出たら、挑戦を恐れず行動したいです。」
吉野さん、学生の将来の指針となる貴重なお話をしていただき、ありがとうございました!